全身に肉芽腫を形成する原因不明の疾患
肺・縦隔病変は90%を占める
若年で両側肺門・縦隔リンパ節腫脹を認めたら症状がなくても疑う
1.定義
全身の慢性肉芽腫性疾患.多臓器の非乾酪性肉芽腫形成とそれに伴う様々な症状を特徴とする.
2.画像所見
胸部単純X線写真:
両側肺門リンパ節腫大 (BHL: Bilateral hilar lymphadenopathy)
縦隔リンパ節腫大 (右気管傍線開大,AP window 拡大,気管分岐角開大など)
種々の肺陰影
両側肺門リンパ節腫大 (BHL) はあまりに有名な所見ですが,リンパ節腫大が著明でないときは意外に難しいこともあります.肺血管は通常末梢に移行するにつれて滑らかに細くなっていきますが,肺門リンパ節腫大があると逆に末梢にかけて太まるように感じることがあります.肺門リンパ節のみではなく,単純X線写真で指摘出来る縦隔リンパ節腫大の所見として,右傍気管線の肥厚や気管分岐角開大,AP window の拡大にも注意を払いましょう.
肺野病変は上肺野に優位に認められますが,胸部単純X線写真では認識できないことも多いです.逆に進行したサルコイドーシスでは線維化が生じて容積減少を生じることもあり,これは CT よりむしろ胸部単純X線写真の方が認識しやすいこともあります.
CT:
両側肺門・縦隔リンパ節腫大
広義間質に沿った微小結節影
肺結節影・腫瘤影
肺浸潤影
すりガラス影
肺線維化
両側対称性の肺門・縦隔リンパ節腫大がほとんどの症例で認められますが,稀に非対称性の腫大や通常は腫大しない領域 (乳腺内や傍椎体,retrocrural space など)のリンパ節腫大が認められることがあります.
肺病変はなんと言ってもリンパ行性の進展と粒状影です.気管支血管周囲束や胸膜下,葉間胸膜などの広義間質に沿った陰影が認められます.非常に細かい粒状影が特徴です.
肺内病変も細かい粒状影が特徴ですが,しばしば癒合して結節・腫瘤を形成します.この腫瘤はよく見ると細かい粒状影から構成され,周囲にも同様の粒状影が広がり,Galaxy sign と称されます.
時々,consolidation やすりガラス影を形成することもあります.
進行したサルコイドーシスでは肺線維症を来たし,容積減少を呈することも覚えておきましょう.
3.鑑別疾患
珪肺
癌性リンパ管症
悪性リンパ腫
上記のようなリンパ行性に進展する疾患が鑑別の筆頭になります.珪肺では腫大リンパ節の卵殻状石灰化,癌性リンパ管症では癌の既往などが鑑別のポイントになります.悪性リンパ腫は時に鑑別が困難なこともありますが,サルコイドーシスのような細かい粒状影を形成することは少ないと思います.