脾臓が捻転する? 遊走脾・脾捻転・脾梗塞の画像診断

ポイント

 脾臓は強固に固定されているが,稀に固定異常(遊走脾)を生じる

 遊走脾を背景として,脾臓が捻転・梗塞を生じることがある

 脾捻転の診断には 「whirled appearance」が重要

 脾臓は背側胃間膜から発生し,胃脾間膜,脾腎間膜,横隔膜結腸間膜などにより左上腹部に強固に固定されていますが,これらの間膜や靭帯の形成不全により遊走脾という稀な状態を生じることが知られています(左図: 脾臓と関連する間膜・靭帯).
遊走脾とはその名の通り,脾臓が遊走し正常な位置から移動した状態のことを指し,非常に稀です.遊走脾の診断は,本来の左横隔膜下に脾臓が認められないことで診断されますが,こういった患者では一日の中で脾臓も移動しており,複数回の画像診断で初めて診断されることもあります.

こういった脾臓の固定異常を背景として,腹壁の萎縮や妊娠,脾腫などを契機に脾臓の捻転を生じることが知られており,急性腹症の原因となります(1).

この方は30代女性,腹痛と発熱を主訴に来院されました.
単純CT(左)では腹腔内,左側腹部に16×6cmの境界明瞭,比較的高吸収を示す腫瘤を認めます.造影効果は認められず(中央),血流障害が示唆されます.少し尾側のスライスでは,拡張した渦巻き状の血管と腫瘤が連続し,whirled appearance を呈しています(右).


斜冠状断で再構成した MIP (Maximum Intensity Projection)像では脾動静脈を軸として捻転した脾臓が認められます.
手術所見では脾臓は正常位から遊離して左下腹部に位置しており,遊走脾の状態でした.色調は黒色で梗塞,壊死が疑われる所見でした.

脾捻転の診断については,まずは上述の通り脾臓の位置異常を診断すること,そして血管や脂肪織が渦巻き状に脾門部につながる所見 (Whirled appearance)が特徴的とされています(2).

脾捻転や脾梗塞に日常診療で遭遇することは少ないですが,初見でも画像から病態が推定できれば診断可能と思います.頭の片隅に置いておきましょう.

参考文献
1) 前田恵里子:遊走脾・脾捻転山下康行;肝胆膵の画像診断 CTMRIを中心に. 486-487, 秀潤社東京都, 2010
2) Raissaki M, et al. Acute abdomen due to torsion of wandering spleen: CT diagnosis. Eur Radiol 8:1409–1412, 1998

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