ランダムパターンの代表格,粟粒結核の CT 所見とは?

びまん性陰影を見た時によく表現される,「ランダムパターン分布」.
小葉中心構造にも小葉辺縁構造にも病変が存在しているときに使われる表現で,血行性散布病変を意味します.粟粒結核は血行性散布された結核菌による多発病巣で,ランダムパターンの分布を示す代表的な疾患です.画像を見てみましょう.

30歳代インド人男性.2週間前からの発熱,咳嗽が増悪し救急搬送されました.
画像的には1-2 mm までのごく小さな粒状影がびまん性に認められます.また,一部ではすりガラス影,癒合状の陰影も形成しています.粒状影はいわゆる「ランダムパターン」に分類され,粟粒結核が疑われます.縦隔・肺門リンパ節に腫大が認められますが,一部には石灰化があり,左肺底部にも石灰化結節があります.陳旧性結核の一次感染巣 (primary complex)が疑われますので,今回の粟粒結核は二次結核の結果と考えられます.

びまん性粒状影を見た時には分布を検討しましょう.
分布は大まかに
「経気道的散布」 or 「血行性散布」にわけて考えるのが重要です.
これに対して画像としては
「小葉中心性パターン」 or 「ランダムパターン」が大まかに対応します.

小葉中心なのかランダムなのかを見極めるポイントとして最も簡便なのは「胸膜に粒が乗っているかどうか?」ということです.
胸膜には細気管支は到達しないので経気道的な広がりとは考えにくく,胸膜に病変があればランダムパターン,ということは血行性散布した病変と考えることができます.

血行性分布(ランダムパターン)する肺粒状影の代表的な鑑別疾患は「粟粒結核」と「転移性肺腫瘍」で,転移の場合は甲状腺癌転移は特にこのような形態を示すことがあります.
画像的な鑑別は困難なこともありますが,粟粒結核の場合には粒だけでなく,浸潤影やすりガラス影,空洞病変など多彩な所見を合併すること,症状や経過からも鑑別に困ることはそれほどない印象です.

ちなみに粟粒結核は一次結核・二次結核どちらとしての発症もあり,若年者では一次結核の方が多いです.一次結核では初感染に伴い縦隔リンパ節に感染が進展し,胸管・静脈角から静脈内に菌が侵入するので,縦隔リンパ節腫大が多いとの報告があります.この方は結核蔓延国であり,世界での結核新規発生の20%を占めるインド出身です.縦隔リンパ節は腫れていますが,上述のように陳旧性の一次結核感染巣と思われる石灰化があり,今回は二次結核の結果のように思われます.

ランダムパターンの分布を示す疾患の代表格,粟粒結核を押さえましょう.

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