溶骨性転移と造骨性転移の違いって?

溶骨性転移を起こすのは肺癌で、造骨性(硬化性)転移を起こすのは前立腺癌で、そんな感じで国家試験の時に丸暗記した日々を懐かしく思う,卒後○年目の画像診断医です.そもそもなぜ骨転移に溶骨が起きたり,造骨が起きたりするのでしょうか?

骨は悪性腫瘍の転移が生じやすい場所として知られています.骨に悪性腫瘍が転移してくると,正常の骨組織には破壊が生じてくるはずです.この骨吸収は腫瘍による直接作用だけではなく、腫瘍が産生する様々なサイトカインによる破骨細胞の活性化によって間接的にも骨吸収が促進されます.

さて、骨は吸収されるがままなのでしょうか? いえ,違います.
多くの場合は骨吸収に引き続いて局所で骨芽細胞による骨新生が同時に起きるのです.腫瘍と破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨新生が綱引きをしている状態になるわけですね.
骨吸収が上回れば溶骨性転移として,骨新生が上回れば造骨性(硬化性)転移として認められる訳です.

骨転移を治療していると最初は溶骨性であった病変が次第に硬化してくる,ということはよく経験されます.これは治療によって骨吸収より骨新生が上回った結果と言えます.

そう考えると比較的増殖の緩徐な事が多い前立腺癌や乳癌(特にホルモン受容体陽性乳癌)が造骨性転移をきたすのは納得がいくのではないでしょうか?教科書的に丸暗記するのではなく,理屈を理解すると記憶に定着しますね.


左図(胸椎単純X線写真側面像): 椎体に不均一な硬化像が認められる.
右図(CT骨条件矢状断像): 椎体や棘突起に多数の造骨性(硬化性)転移が認められる.乳癌の骨転移であった.

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